この部屋から東京タワーは永遠に見えない(麻布競馬場)

書評

ある程度満たされながら満たされない若者の閉塞感とでもいうのでしょうか。

本書は、短編20編から構成されていて、主に大卒から30歳前後の若者にまつわる物語です。

多くの人が親にある程度の環境を与えてもらい、ある程度の学歴や職を得ながら東京に出てきます。ところが、東京には自分より恵まれた環境・容姿・学歴・地位・経済的余裕など様々なものを持つ人がいて、それらとの比較の中で絶望・葛藤・悩みなどを感じてしまう。じゃあそれらが解消される方向に向くかというと、多くの話が閉塞感の中で終わります(中には、希望が持てる話もありますが)。

特に大学にまつわる表現が多くあって、学歴に対するこだわりや(もしかしたら)劣等感を感じました。また、人が周囲の人との比較の中で幸せや満足を量りがちなことを捉えて、心の動きや内面の苦悩、ドロドロしたものが表現されていました。

若者ですから男女関係もメインテーマの一つなのですが、恋愛感情というより、異性経験や社会的な地位、経済力を比較する人たちが多く登場してきて、あまり救いが感じられなかった。

200ページに満たないボリュームですので一気に読み終えることができましたが、読後感は何とも重たいと感じました。

では、また。

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